精神科での患者拘束、全国1万人超 10年前の2倍




d0088184_22163333[1]
精神科での患者拘束、全国1万人超 10年前の2倍

[2016年5月9日9時33分]  共同通信

精神科病院で手足をベッドにくくりつけるなどの身体拘束を受けた患者が2013年度、全国で1万229人に上り、10年前の2倍に増えたことが9日、厚生労働省の調査で分かった。内側から開けることができない「保護室」に隔離された患者も約3割増の9883人だった。



 精神科病院での身体拘束などは精神保健福祉法上、本人や他人を傷つける恐れがあるなどと精神保健指定医が判断した場合に限定的に認められている。



 厚労省は調査結果について「明確な因果関係までは特定できない」とした上で「アルツハイマー型認知症患者の割合が増えている背景はある」と説明。識者からは安易な身体拘束を指摘する声もあり、人としての尊厳や権利の制限につながるとの懸念から「適切性を第三者機関が判断する仕組みが必要」との意見も出ている。



 精神科に関する全国調査は厚労省が毎年度実施し、入院患者数や医療従事者数、病床数などを集計。データがまとまった13年度の対象は1616施設だった。



 その結果、身体拘束を受けた患者は1万229人に上ることが判明。最多は北海道の1076人で、東京の992人、埼玉の878人が続いた。また「保護室」への隔離は9883人で、最多は大阪の612人だった。



 身体拘束に関する調査項目は03年度に加えられ、同年度は5109人(対象は1662施設)。その後増加の一途をたどっているという。03年度に保護室に隔離された患者は7741人だった。



 一方、精神科病院への入院患者数は減少傾向にあり、03年度に約32万9千人だったのが、13年度は約3万2千人減の約29万7千人となった。



   ――◇――



 <不当な身体拘束は高齢者施設でも表面化>



 高齢者に対する不当な身体拘束が疑われる事例は近年、特別養護老人ホーム(特養)など高齢者施設でも表面化している。ベッドや車いすに縛り付けるといった行為について、識者は「高齢者を追い詰め、心身の健康を損ねる危険な行為。認知症などの場合、症状を悪化させる恐れもある」と警告する。



 厚生労働省は、「身体拘束ゼロへの手引き」で<1>ベッドの四方を柵や壁で囲む<2>ベッドや車いすに体や手足をひもで縛る<3>介護衣を着せる-などの行為を例示。これらは介護保険法に基づく省令で原則禁止とされ、入居者や他の利用者に危害が及ぶ恐れがあるなど、施設の職員がやむを得ないと判断した場合に限って認められている。



 だが昨年には、埼玉県内の特別養護老人ホームで、必要な手続きを踏まずに認知症の入所者の身体拘束を続けていた問題が発覚し、県が行政処分を出す事態に。東京では、高齢者向けマンションで行われていた身体拘束について、区が「妥当性を検討した形跡がない」として虐待と認定したケースもあった。



 淑徳大の結城康博教授(社会福祉学)は「身体を拘束する行為が情緒不安定な状態やうつなどの症状悪化を招き、問題行動が増えた結果、さらに拘束が必要になるという悪循環に陥ることも多い」と指摘。「安易な拘束を実行する前に、問題とされる行動の背景や原因をよく考え、本人の心情や体調の変化などを理解するよう努めるべきだ」としている。(共同)


スポンサーサイト

コメント

非公開コメント