つむぎの法話会

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浄土新聞
  仙台市・慈恩寺で「つむぎの法話会」
 東日本大震災、自死、事故、病気など様々な理由で大切な家族を亡くした遺族を対象に、法話、回向などを勤める「つむぎの法話会」。12月4日、仙台市の慈恩寺(樋口法生住職)で開かれた模様を取材した。
「震災によって子どもを亡くした親が、自分を責め、行き場のない苦しみを抱えています。お寺で静かに手を合わせ、遺族どうしが分かち合える場を提供してもらえないでしょうか」
 震災直後、樋口住職にこう願い出たのは、仙台市に住む田中幸子さん(66)。田中さんは長男を自死で亡くしたことから平成16年、子どもを亡くした遺族の会(つむぎの会)を立ちあげ、公民館などを会場として、同じ境遇にある遺族とともに心の思いを語り合ってきた。そして樋口住職には、震災前から自死、命についてたびたび相談をしていた。
 樋口住職はこの願いを快諾。23年10月からふた月に一回、寺の本堂を会場に名称をとくに「つむぎの法話会」として、自死や震災などそれぞれの事情で子どもを亡くした遺族が樋口住職の回向法要、法話に耳を傾けながら心を落ち着けて自身と向き合える時間を持つようになった。
 今回の「つむぎの法話会」は年末の特別版。通常の「つむぎの法話会」に参加する遺族を中心としつつも、誰でもが共に祈れる場をと、樋口住職が所属する大本山金戒光明寺布教師会とともに年末に開いているもので、今回が3回目。同会布教師の苅安卓也師が法話を行い(写真)、蓮の花の写真を全員に配布しながら、「最愛のご家族は阿弥陀さまのお慈悲によって、蓮の台(うてな)に往き生まれ、痛みも、苦しみもない極楽浄土におられます。遺された私たちは、どうかお願いしますと、お念仏をとなえることで、必ず再会が果たせます」と、遺族一人ひとりに語りかけるように説いた。
 法要では回向を行う僧が「施主にとりては愛しき息子にして、世に居ませし時の名を・・・」と、施主と故人との繋がりを哀愁のこもった節で詠みあげると、堪えきれない感情が筋となって遺族の頬をつたった。
 会を終え田中さんは、「遺族は喪失感のなか、藁にもすがる想いで宗教書やスピリチュアルの書籍などを読み漁ります。しかし、〝こうでないといけない〟という考えに縛られ、逆に苦しみが増幅してしまうこともあります。こうした悩みをつむぎの会で語らうなかで、〝お寺で本物の教えを聞きたい〟ということになりました。慈恩寺さまでは、法話をお聞きし、その後に直接質問もできるのが何よりありがたいです。〝お仏壇にミルクをお供えしてもいいですか?〟など、些細なことかもしませんが、ご住職の『大丈夫』という言葉がどれだけの安心になるか。また法話のなかでお教えいただいた〝極楽で再会できる〟という教えは遺族にとっては本当に救いになります」と語った。
 〝震災から今年で5年〟
 そんな文言は遺族にとっては何の意味もなさないかもしれない。震災に限らず、いつまでも節目を迎えられない遺族は多い。
 「ずっと、ずっと続けてほしい」
 遺族の一人がつぶやくように語った。その想いに応えるように樋口住職は「まだね、来年も待ってっから」と、東北訛りの優しい口調で再会を約束していた。
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